過日のやり直し

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《王冠泥棒、オーコ》の禁止とMTGの苦悩

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 《王冠泥棒、オーコ》のスタンダード禁止。

プレイヤーの大多数が望んでいた改定がついに来ましたね。
ついでに《むかしむかし》と《夏の帳》も禁止されたことで、緑を含むデッキは大きく弱体化することになりました。

《害悪な掌握》など、色対策カードをメインで4積みするとかいう異常な状態からようやく解放されそうです。

はっきり言ってオーコは調整不足だと思いますし、0マナスペルの危険性が十分知れ渡っているのにむかしむかしが刷られたことも驚きなのですが、
それが同セットの同色に入っているということが一番ダメでしたね。

 

今や、スタンダードは禁止でバランスをとるのが当たり前のようになっています。
これは一昔前では考えられなかったことです。スタンダードは基本的に新製品を売るためのフォーマットであり、
最新セットのパックから大会で使えないカードが出てくるというのは、基本的にあってはならないことだからです。

 

このような状況になってしまったのは、(もちろんオーコは強すぎたのですが、)インターネットの普及によるところが大きいと考えられています。

今日のMOおよびMTGアリーナでは毎日何百万人というプレイヤーが対戦をしており、流行のデッキやメタゲームの解説をSNSでシェアしています。
私たちは「巨人の肩の上に立ち」、非常に洗練されたデッキリストを持って新しいスタンダードに望むことができます。

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新しいセットは、発売前に入念なチェックがされています。ウィザーズ社内で、かなりの時間をかけてテストプレイがされています。
しかしそのテストプレイの回数は、新セット発売直後の1週間で行われるネット上のプレイ回数に比べたら、本当に微々たるものです。
プレイヤーたちの解析力は、完全にウィザーズを上回っています。最適化された環境で強すぎるカードが出ないようにすることは、もはや1企業の手に余ると言ってもいいでしょう。

 

MTGが辛いのは「紙のTCG」であるからです。

ハースストーンを始めとする「デジタルのTCG」は、カードそのものを調整することができますので、基本的に禁止はありません。
また、弱すぎる何かを強化することでバランスをとるという選択肢もあります。
それはそれで批判されることもありますが、よりスマートな解決法であることは間違いありません。

流通上の問題もあります。紙にカードを印刷して世界中で同時発売するというシステムでは、年間に発売できる新製品の数に限りがあります。
つまりスタンダードにおいて、新セットの追加にはどうしても数か月の間が空くわけです。
高速で解析が進む現代において、数か月は永遠に近い長さです
もちろん、だからといって必ずつまらない環境が生まれるわけではありませんが、
悪い環境が長く続けば続くほどプレイヤーの不満は溜まっていくので、なんらかの対処が必要になります。
MTGにおいては、「なんらかの対処」=禁止、という選択肢しかないことが問題です。

 

つまり、MTGは「デジタルの速度で解析が進むのに」「紙としての対処しかできない」ことが問題の根本となっていると言えます。

この問題はウィザーズも十分に認識しているようですので、今後の動きに注目したいところです。

 

何はともあれ、今は喜びましょう。

さよなら、オーコ。パイオニアで頑張ってね!