過日のやり直し

生物の飼育を中心に、趣味の話など。

動物取扱責任者の要件変更について(2020年6月より)

 ぶりくら代表である川口さんのツイートを見て、
えっそんなことになってたんですか…!? と。
そういえば動愛法改正の時に、動物取扱業登録関連も色々変更されていましたね。

 

環境省_「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について」に係る中央環境審議会答申について

当該する文章は以下の通り。

ハ 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに別表下欄に定める種別に係る半年間以上の実務経験(常勤の職員として在職するものに限る。)又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による専門職大学であって、当該知識及び技術について一年以上教育するものの前期課程を修了していることを含む。)。


ニ 営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに別表下欄に定める種別に係る半年間以上の実務経験(常勤の職員として在職するものに限る。)又は取り扱おうとする動物の種類ごとに実務経験と同等と認められる一年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ、公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること。

かなり厳しくなりますね。

動物取扱責任者とは、動物取扱業登録する上で選任する必要がある責任者のことです。
今までは、以下のどれか1つを持っていれば責任者になれる=取扱業登録の資格があることになっていました。

  • 半年以上の実務経験(パートなどでもOK)
  • 大学、専門学校など動物に携わる教育機関の卒業資格 
  • 特定の資格(家庭動物管理士など)

改正後は、以下の両方が必要になります

  • 半年間の実務経験(フルタイム勤務)もしくは一年間の実務相当経験
  • 教育機関の卒業資格または特定の資格

実務相当の経験(一年間)は動物の種類ごとと定められていますので、たとえば犬を1年間扱っていても爬虫類は扱えないことになります。

なお、獣医師や動物看護士はそれだけで責任者の要件を満たします。

 

この要件は現在ブリーダー業を営んでいる人にも求められますが、基本的に現在取扱業登録している人は「一年間の実務相当経験」か「資格」のどちらかは持っていると思いますので、
猶予となる3年間のうちに残るどちらかを取得すれば大丈夫です。

 

一方、今後新規にブリーダーとなりたい人は登録が非常に難しくなります。
特に兼業で始めようと思っている人は、「半年間の実務経験」は実質的に不可能な要件であるため、
「一年間の実務相当経験」がどのように扱われるのかが重要なポイントとなります。

パブリックコメント:結果公示案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

パブリックコメント内には以下のような答申がありました。

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ここでは「家庭における飼養経験」を除外することは困難であるとしています。

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しかし、「単なるペット飼育経験ではない」とも答えています。

どっちやねん。

「実務的な飼養の経験」が何を指しているか不明です。
おそらく、パートやアルバイトといった非常勤雇用は該当するのでしょうが、
自宅で繁殖させた経験は実務的な飼養に入らないんでしょうか?

おそらくこれに関しては、各自治体の担当者に裁量が委ねられる範囲が大きいと予想されます。

 

現在の取扱責任者の基準が緩いのは確かです。
はっきり言って金さえあれば資格は取れます。
僕は家庭動物販売士(家庭動物管理士の前身)の資格を取ったことがあるのですが、漢字さえ読めれば小学生でも、動物に触ったことがない人でも取れるような資格です。

なので、厳しくなるとすれば資格試験の難化だと思っていました。
こういう風に規制していくとは。

 

 

この件、もう少し敏感にアンテナを張っておく必要がありました。
今後も注視していきたいと思います。

 

(2020.7.21 追記)

 

複数の情報源より、一般的な(趣味の範囲の)飼育は実務的な経験に入らないとのこと。

たとえば…家族や配偶者、同居人などが取扱業を取得しており、その手伝いをしていたということなら実務経験に入るかもしれませんね。